安全圏
うまくやろうなんて思っても
うまくなんかいかない
それに気付くのにあとどれくらいかかるだろう
その場その場でのあがきが必要だということに
時間がなかったり
体力やら気力がなくて
全く片付けられないでいた部屋を掃除する夜
卵の殻や綿ごみにまみれながら
まだどこかに安全圏があると
思っていたい自分を
改めようと
空き缶をひとつ
空き瓶をまたひとつ
ビニールの切れ端を 折れた割り箸を
荒々しく洗濯機が回る深夜
ハンガーをばらばら床に落とし
ドアに体をぶつけ
安全圏を探す
それは勘違いなのか
それは妄想なのか
真冬
フローリングの床に寝る
暖房もつけずに
動けない体
ああ 冷たい
流水の音
脱水の振動