はらぺこタヌキのらくがき帳

詩を書く練習をしています。

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

乾燥

僕らは年を取って 気付けば汚い姿に変わる かつて僕を苦しめた あなたの美貌も今はない 呪縛が解けて僕は自由になった 自由になった 子供の頃持っていたのと 全く逆になった価値観 ひどく腹を空かせていた犬は やがて貪欲な狼になり 最後は水さえ必要としな…

盛りそばエレジー

帰り道 食欲が全くなくて 盛りそばさえも食べるのが苦痛に感じる時 それでも何か食べなくてはと あちこち店を探した結果 結局ましな物が 盛りそばしかなかった時の悲しさ 冷水を飲み干せば 胃袋が嗚咽する

2進法

「あなたのような 取っ付きにくい人は邪魔だから 早くいなくなるように あからさまな態度を取ります」 「あなたは利益を生まない あなたは損失だ あなたを育てる余裕はない 手間のいらない利益だけを歓迎します」 聞こえない声を 仕草の中に聞き取る 見えな…

やりがい

誰のために 面倒な人間関係に挑む 誰のために 睡眠時間を削る 何のために 苦情に耐える 「お客様の『ありがとう』がやりがいです」 「家族の笑顔がやりがいです」 「自分の意思が反映されることがやりがいです」 浦島太郎は玉手箱を開けた後 生き抜いたのか …

苦衷の願い

左脳を使え 左脳を動かせ 切り開くにはそれしかない 指示系統を自分に作れ 理不尽に叱られるがまま がむしゃらに頑張り抜いて 先人と同じやり方を覚える そんな時代は終わった 左脳よ回れ 左脳よ働け 僕を変えてくれ この闇を破ってくれ 叩き込め 酷使せよ …

ついさっきまで笑っていたのに 今は憎しみにうち震えている 二枚舌のように 光と闇を織り交ぜて叫ぶ ごめんね こんな人間で 不可解でもそのままで 振る舞わずにはいられない 人の心がロボットみたいに 一定だったらいいのに 自分を押し殺すのが大人だという…

その歌を

会社人間と過ごした時間 車道に飛び出す手前の疲れ 何か歌ってくれよ 静かなやつを 睡眠不足の日々 山積の業務 答えに詰まる夜を グランジで耳ごとつぶす 混み合う電車に汗だくのスーツ 戦意喪失の憤りと駅前の猿の群れ 何か歌ってくれよ 激しいやつを 瞬殺…

ハト使い

全てのビルの壁面が粘土だったら 穴だらけにして次々ハトを押し込めるだろう そんな馬鹿な遊びに興じ 気が付けばヘビ使いならぬハト使い 仕事を失いハトを得て 焼き鳥屋を新装開店 店では毎晩手品を披露 ハンカチやスティックの先や 帽子の中からハトが登場 …