はらぺこタヌキのらくがき帳

詩を書く練習をしています。

飢えとうさぎと有頂天

白いうさぎがやって来る
真っ白なうさぎがやって来る
遥か遠くの彼方から
小さな体で一歩ずつ


腹が減ったよ、腹が減った
聞こえるか地球、腹の鳴る音が
目まいがしてぶっ倒れそうだよ
もう少しだけ支えていてくれ


赤い眼をしてやって来る
真っ赤な眼をしてやって来る
少しずつだが着実に
毒蜘蛛の巣へまっしぐら


だらりと長い舌を垂らし
待ち焦がれる獲物の到来
聞こえるか宇宙、途切れがちな呼吸が
もう少しだけ生かしておいてくれ


ああ、僕はもう有頂天
高鳴る鼓動、速まる脈拍
僕の全てをリズムが刻む
勝手に言葉が溢れ出す


けれどもうさぎの一歩ごとに
なぜか空腹が満ちていく
牙は抜け落ち、爪はもげ
心なしか体が白い


うさぎよ早くやって来い
巣に引っかけて糸を巻いて
いざ食う時には空腹がなく
僕の毒も消えるだろう


うさぎよ早くやって来い
いざ食う時には空腹がなく
僕らはすっかり有頂天
心なしか眼が赤い