はらぺこタヌキのらくがき帳

詩を書く練習をしています。

後は何を流せばいい

とんぼの大群が横切って
雨上がりの空に土砂降り
右手のドライバーは手から滑って 向こうの草むらの中に消えた
それを追っかけた犬は神隠しに遭ってワンダーランドに消えた
泣きたいけど涙が出なくなった後は何を流せばいいんだろう
血を流すのは痛いからやめて道端に落ちている空き缶を拾っては中味を流して歩いた
そうでもしないと頭の中をとんぼの大群が横切りそうで
名前を知らないきれいな色の鳥を捕まえようとして
木から落ちたような
疾走感


消えた犬を追っかけたら僕もどこかに飛べたろうか
ドライバーを探す振りをして草むらでバタフライ
かえるの大群が草むらでくたばる僕を踏み越えて南へ大移動
土砂降りの上に雹が降る夜
泣きたいけど空き缶が無くなった後は何を流せばいいんだろう
川の中に両手を突っ込んでそれを涙と思い込むことにした
新種の猫を捕まえようとして谷底に落ちたような浮遊感
そのまま谷底がワンダーランドにつながっていて
ドライバーと犬に再会
そこでとんぼたちに激突され
かえるたちに踏みつけられて
帰り方がわからないままそこで十数年暮らす
その後は何を流せばいいんだろう