はらぺこタヌキのらくがき帳

詩を書く練習をしています。

死への想い 生への想い

雨の降る暗い深夜
僕は車にはねられた
道路に倒れ頭を打った
運転手が飛び出して
救急車と警察を呼んだ


雨に打たれて僕は震えた
運転手も濡れながら僕の手を握っていた
すみません、すみません・・・と
何度も言っていた
通りかかった何人かの人が
大丈夫ですか、救急車を呼びましょうかと
声をかけてくれた


救急車で運ばれ
病院で検査を受けたが
頭部に異常はなかった
地面に打ち付けた頭と首と
車にぶつけられた腰が痛んだ


病室から解放されると
待合室に運転手がいた
僕が無事だとわかると
「良かった・・・・・・」と
深い安堵の息をついた


良かったのだろうか
救急車の中で持った
ひそかな後ろ向きの期待
しかし
僕の無事を泣いて喜ぶ人がいる


死を望む人がいる一方
人を助けようとする人がいる
お前に生きてほしいと願う人がいる
必死に生きようとする人がいる
なぜなのか
正反対の行動だが
同じ人間同士
同じ人間同士だが
正反対の境遇


僕は揺れている
これまでの生き方
救急車の中で持った期待