はらぺこタヌキのらくがき帳

詩を書く練習をしています。

キリンになりたい

僕は自分のかっこ悪さを知っているから
キリンになりたい
敵に壮大な頭突きをかまし
忘れたい自分を
キリンになりたい

そして背中に君を乗せて走っていきたい
頭に君を乗せて高く持ち上げてやりたい
青空と草原と地平線と
澄んだ空気と忘れた自分と
キリンになった僕と朝日を浴びる君と

毒と解毒

外界から隔離されたこの小さな国であなたと二人きり
僕はあなたに束縛されて自由がなく
あなたは自殺念慮に束縛されて自由がない
僕らの未来に栄光はなく
閉鎖された生活圏で狭い行動範囲を繰り返し
くるくると回り続ける
「誰も置き去りにしない」という理念の元に
動ける人の何と少ないことか
あなたは僕をじりじり殺し
僕はあなたを何度も傷付ける
そうして二人 共倒れになるのを
陰から眺める鬼がいる
僕は外では戦えない
なぜならあなたが毒を注ぐから
ならばあなたと戦おう
その運命を解毒しよう
底無し沼の地獄を抱えたあなたを
連れ出して外界へ解放しよう
その為に僕はこの一生を費やして
死のう

脳を壊して

脳を壊して
人に害を与え
私は戦うのをやめた
それまでの職を捨て
壊れた脳を手に引きずり
人の情けに甘んじた


今後の人生に希望はあるのか
私を罵る人々の目の光を
声の揺れを指先の冷えを
見詰めながら
空っぽになった自分に問う
無論答えなど出ない
未来を見抜く知恵もない


光のない凍てつく道を
ひたすら歩き続ける感覚
その中で
私は悩むのをやめた
そうだ
せめて今を朗らかに生きよう
明朗な一日一日の積み重ねの先に
何があってもなくても
明朗に生きた自分と人生が残るはずだ
そう決めた

愛しき宿命

愛しき人よ
愛しき罪よ
狂わしい死と対峙した
儚げに震える 愛しき笑顔よ
束の間の紅蓮は燃え盛り
やがて
その赤々しい熱は死に絶える
枯渇した後に残るのは
宿命
影のように付きまとうそれから
逃れ続けるか
あるいは向き合うか


枯渇した後に残るのは
宿命
それは他人の姿を借りた
自身の鉄鎖
逃れることなどできやしない
ならば決めよう
この人生の重厚なる枷よ
我が愛しき宿命よ
お前を愛そう
その表面が錆び付き果てて
この手の中にぼろりと砕けるまで
それとも
先に砕けるのはこの身か

共生

三日月がきれいだと
冬は寒く、部屋の中は暖かいと
平日は忙しいが休日はほっとすると
たまに時間を作って出かけるのも大事だなと
そんな何気ない事を感じる事が当たり前ではなかったり
真逆の感性や価値観に面食らって
笑う事も怒る事も今まで通りにいかないような日常が始まった
今はその事をひたすら自覚するべきなんだろう


365日間ずっと元気なままの人は稀だと思う
基本的に苦しくて、時々楽しいのが人生の常だと言う
あなたの笑顔を見ていられるのはとても貴重な事なんだと
改めて胸に刻んでおこうと思う
たくさんの障害が僕らを包むけれど
やりきれない日が多いけれど
気の遠くなるような場所を目指して
ゆっくりゆっくりとしか進めないけれど


僕が生きる上で感じる価値は
いい思い出の数とか深さとか、今周りにいる人とのつながりとか
今まで自分がしてきた事が自分で好きになれるかどうかとかだと思うけれど
中には全く違う人もいる
人によって、その人のそれまでの経験によって、様々な形をしている
今まで頭ではわかっていたつもりでも
いざ目の前にするとどうしていいのかわからず衝突してしまう
それを何度も繰り返し、それを何度も乗り越えるしかないんだ


長い長い時間と労苦をかけて
僕らがお互いを分かり合える日が来るように
今日も明日もあなたと言葉を交わし
離れていても近くにいても、苦しくて仕方がない時も
自分を、そして僕ら自身を、方向性を見失わないように
衝突しても再び手を取り合えるように
今日も明日もあなたと想いを交わし
共に生き抜いていきたい

やりたいことがたくさんあるのに
なぜか一歩が踏み出せない
あれもこれも欲張って
全部やろうとして気が遠くなって
何も手につかないままだ
だるいから、疲れているから、やる気が出ないから
というのは全部嘘だ


僕はお金は欲しくない
僕は世間体は欲しくない
ちやほやされるのもうんざりだ
愛情なんかじゃ満ち足りない
努力した暁に得られるものが
何だったら僕は納得できるだろう?
火がつかないまま流れた月日はどれだけだろう?


小手先の言葉じゃ
手近な目的じゃ
間に合わせの人生観じゃ
僕の中の鬼は追っかけるのをやめない

最後の日が落ちる前に

ひどい吹雪の日
暖かい部屋の 暖房の傍で
窓から荒れ狂う天気を眺めている所を
絹よりも滑らかな刃で ふいに刺してほしい
痛覚がないまま
うとうとしたまま
静かに血を流して
眠りに落ちるように絶命したい


買ったばかりの服を着て
買ったばかりの家具を眺めて
退廃的な曲を聞きながら
何かを思いながら
涙を流し終わってから
空腹感のないうちに
誰かが来る前に
電話が鳴らないうちに
日が落ちる前に