はらぺこタヌキのらくがき帳

詩を書く練習をしています。

2008-01-01から1年間の記事一覧

子供

泣きやんでくれ お前の親はいないけれど 空腹をしばらく忘れさせることはできるから 泣きやんでくれ お前を保護するいい親を いずれきっと見つけるから 泣きやんでくれ 食べ物の写真が載っている 本を時々見せてやるから

睡眠薬と朝と夜

いつかの睡眠薬を見つけてから 生活リズムが正常に戻った 夜に眠り 朝に目覚める たったこれだけのことで 人間らしい生活を感じる 明け方に鳥の声を聞く 静かな夜に意識を消す 今の自分が たった今 人間であることを嬉しく思う

不眠の夜

夜は朝につながっていて 暗くなるまで一日を押し流す 頭に浮かんだ映像の半分が 目を開けても残ったまま 体は耐え切れず 微かな音を立て続ける 胸が痛むような過去を思い出して 今ならもっとましなことができると 思っても 手の届かない裂け目 青白い明かり…

見えない浮遊体

何もできない日が続いて絶望しても 近くに仲間がいるだけで 何となく大丈夫だと思えることがある 頭や気持ちでは整理がつかないままでも 人に話を聞いてもらうだけで 何となく元気になることがある 真夜中になるまで 何もする気になれないまま無駄に過ごして…

「黒い犬」

最初から最後まで助けてくれる人なんていない 最初から最後まで助けてやることができないからだ 結局人が人にしてやれることには限界がある 肝心な部分は自分で立ち上がるしかない 決意して いつも以上に努力すると 必ず「黒い犬」が現れる こいつにはどう立…

逆行

直せない傾向性は無意識の中にある 頭ではわかっていても同じことを繰り返す その元凶は無意識の中にある そこに切り込むことができれば 変えられなかった自分の行動を変えることができる こうする方が楽しい こうするのが自分にはいい と 感じているその思…

続き

魂が抜けたような状態で 上り坂を一歩 また一歩 途中で立ち止まり そのまま 体や心を壊さないように 限界を超えられるのか 魂が抜けた人間に 限界を超えられるのか さんざん悩んで何もできず そのまま 何もできなくなったら 周りに助けを求めるしかない 一人…

塵を集めて

きれいな花束を持って 歩いていく群れと群れ 雑踏は色彩に溢れ 溢れて 夜が来ると消える 小さな部屋に隠れてあなたと生きるよりも 遠いどこかの海に浮かんで 一人漂っている 波に飲まれて 溺れて 流れて 地球の表面に張り付く 全体像をつかめないまま 存在の…

草木石

理想像が欲しい 目標が欲しい こうありたい こう生きていきたい という 十代のような情熱が欲しい 今の自分にはそれがない 屋根と壁があって 安全に寝られればそれでいい あとは何も欲しくない 特に何もしたくない でもそれがなければ いつまでも変われない …

飛空

興味のないことを 続けながら生きる苦しみを 見えないあなたにぶつけたい 宇宙のどこかにぶつけたい 現実から逃げ出した 自分を飾ってみたって 義務感をごまかした 自分を称えてみたって 夜が明ける 朝が見える 祈りは疲労とともに 動かない僕を蹴り動かす …

染色

自分が色だったら 染めたい布がある 布だったら 飛ばされたい風がある 風だったら 走りたい景色がある 自分自身に勝った翌日に 自分自身に負け 翌日また勝とうともがく それを実際に見るために 鬱と恐怖にとぼとぼ向かう それを事実にするために 絶望にリモ…

死闘

今の苦しみが一時的なものだと思わない 今後の全てを決める死闘だととらえて 僕は自分に鞭打つ 鞭打って ぶつかって進めない壁を 力の入らない腕で殴り続ける 貧血をこらえながら 壁を殴り続けることで 突然腕に力がこもり 一瞬で吹き飛ばすことができる 飢…

壁の上

乗り越えた一枚の壁の上に 腰掛けて笑った 飢えたまま走って ぶっ倒れて もう走れなくなった時に 走るのをやめ 両手で土を掻いた 掻いた土が 柔らかく降りかかり すると体が軽くなる 歩いて進む道 歩いて乗り越える壁 その一枚は もう高い壁ではなくなった …

夜の爪痕

逃げて楽になろうとする自分 引っ掻いても 言うことを聞かない自分 殴っても心が動かない 叶わない願いはただの苦しみ ただの苦しみだから 昔 自分を助けてくれた人の 写真を眺める 嘘はつけない 必ず打開すると告げた 打開して生き延びると 遠くから見てい…

続く空間

未来を信じるか さもなければ死 そんな状況に自分を置いた 実家は崩壊寸前だったが つい最近希望が見えてきた 不確定だが安定への小さな希望 世の中は急に変わることがある 展望が見えなくて 現実を拒否していた自分 それをやめて 今は前を向くように努めて…

戦闘

陰で黙って見ているのはもうやめだ いつかあいつはひどい目に遭うはずだ と 言い聞かせて我慢するのはもうやめだ 主張を 正面からぶつかる争いを始める 味方を作れ 周りを巻き込め 複数になって敵にぶつかれ 正面衝突 突撃前進 失うものは何もない ひと掴み…

青い大海原を きらきら泳ぐのが夢なんだ と言って 飛び込んだそいつは 水面下にもぐったまま浮かび上がって来ない きれいな海原には程遠い そこは泥で汚れた沼だった 一年経ち、二年経ち、 三年経ったある日 あぶくをたてながら顔を出したそいつは まだ生き…

可能

何度も死のうと思いながら 結局生き延びたのはなぜか 何となく思うのは 勝つためだということ 生き恥をさらして苦しみ抜くためではなく 勝つために 生き延びて 勝って また生き続けるために そして それは可能だということ

焼き付いた

日に日に消える映像 同時に 繰り返し浮かぶ場面 どちらも同じものなのに 目が 頭が 胸の奥が いつまでもそれに包まれている 真っ直ぐ見つめて逸らさない目 絶えず隔てず包み込む微笑 絵のような 芸術のような 過去を消す光 巨大な爆発が込められた一瞬 放心…